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月夜の海、朔の森

梨木香歩さんのこと

梨木香歩さんという、私の好きな作家のことを
書き留めておきたいと、前々から思っていた。

梨木さんは植物や鳥に造詣が深く、作品の中にも植物と鳥は多く登場する。
私自身は、植物にも鳥にもとんと疎くて
梨木さんの作品の中で、自分勝手なイメージを膨らませて読んでしまうこともしばしば。
というより、小説を読むとき、自動的に動画のようなイメージが現れてきてしまうものだから
実は自分でもどうしようもない。

梨木さんと言えば、『西の魔女が死んだ』が有名だろうか。
映画化されて、その映画がヒットしたから
案外、原作の方は知らないという人も多いかもしれない。

私としては、映画と原作は、かなりの別物だった印象がある。
映画は映画で楽しめたけど、原作の雰囲気は、ちょっと出せていない気がした。
魔女が全然魔女らしくないところとか(笑)、
成長していく孫と老いていく祖母との対比が描かれているように見えるところとか
(そんな風に見えたら作品の意味が変わってしまうのに)、
魔女修行が、普通の規則正しく健康的な生活にとどまってしまっているところとか。
ありきたりの人間ドラマ風に変化させられているようなところが、ちょっと残念。
書き出せばきりがないが、せっかくステキなお家と、手嶌葵さんの歌が用意されていたのに・・・と、もったいない気も(ちょっとだけ)した。
それに原作では、孫の後日談を別立てで『渡りの一日』と題して一編設けている。
これがまた、にくいほどしゃれている。魔女修行の成果がさりげなく書かれているのだ。


梨木香歩さんの小説の中で、私が特に好きなのは
『家守綺譚』と、その続編の『冬虫夏草』+αの『村田エフェンディ滞土録』
この三作は、是非通して読んでもらいたい連作になっている。
(『村田エフェンディ滞土録』だけは、主人公も場所も変わり、文体も変わるのだが
最後まで読んでいただければ、感動すること間違いなし!
主人公が、かつて鸚鵡から教わった言葉、「ディスケ・ガウデーレ   楽しむことを学べ。」と、剥製のように変わり果てたオウムに囁くと、鸚鵡は目を開け、突然夢から醒めたように、「友よ!」と、甲高く叫ぶ。そのシーンが忘れられない。)

河童やサラマンディーなど、いろんな異界の生物がごく自然に日常の中に現れるところが
いかにも梨木さんらしい(それがさも当然のような気にさせられるという意味で)。



また、『f植物園の巣穴』もオススメ。
異界と現実が交錯する不思議な世界で、主人公の心がどう癒され、また主人公が自分で自分をどう育てていくかという、その過程が、異界での体験を通じてじっくり語られている。
私たちは、本当は自分の世界の中でしか生きていないのだということ、そして自分の世界の中でしか自分を育てられないのだということに、作品を通して気づかされる。

そしてそして、私の最も好きな梨木さんの作品、『ピスタチオ』
アフリカの呪術の世界、鳥の渡り、水、双子、木になった人間(ナカイマツリー)と
次々に繰り出す重要キーワード。
この小説に関しては、これ以上はあまり書きたくない(笑)。
理性(左脳)を使う言葉での説明は無理!・・という意味です。
是非是非、読んでもらいたいと思うけれど、
読みたいと思ってもらえそうな紹介文が書けない。


梨木さんの小説の特徴として、作品ごとに文体が変わる・・・というのがあるかもしれない。
連作になっているものは別として、これ、同じ人が書いたの?という気持ちになることもけっこうあった。
エッセイの方はそうでもなく、どれを読んでも、ああ梨木さんだなあと思わせられるけれど
小説の方はホントに、文体も作風もバラエティーに富んでいる。
「『西の魔女』だけが梨木さんだと思うなよ。」と、梨木ファンの私は
誰に言うともなく、ひそかにそう思っている。







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